※部署名・インタビュー内容は取材当時のものです。


材料全般の分析と並行して個人の研究も

私が所属している研究開発部では、製品に使用される材料全般の分析や研究・開発を行っています。

主力製品であるワイヤには合金鋼や炭素鋼が多く使われており、医療用部材にはステンレス鋼や非鉄金属が用いられます。それら多岐にわたる材料を研究し、よりよい品質の実現および市場ニーズを視野に入れた製品づくりに役立てるのが使命です。

その為、最近ではFEM解析(※2)を導入、熱処理や伸線工程における物理現象をシミュレートし、実測値と計算結果の妥当性を検証して製品設計精度の向上に役立てています。

そういう日常業務と並行して、一人ひとりに研究テーマが与えられるのが、この部署の特徴でしょうか。私の場合は、「新しいステンレスワイヤの開発」。挑戦しがいのあるテーマですが、研究だけしていればいいという職場ではなく、結果を出さなければ評価されないのが社会人ですのでそこはシビアです。

(※2)FEM解析
Finite Element Methodの略称。日本語では「有限要素法」と訳される。
数値解析手法の一つで、微分方程式の近似解を数値的に得る方法のこと。

専門職として頼られる喜びがある

社内でも珍しいケースだと思いますが、私は入社6年目にしてすでに3つの部署を経験しています。

最初の配属は製造技術部でした。大学生時代チタンに興味を持ったことから、当時チタン線を製造していた当社を志願。ところが面接で、「今後、チタンからは撤退する」と説明があり、ガクッとなったことを覚えています。ただ、二次加工メーカー志望でしたし、撤退するとはいえ国家レベルのプロジェクトに採用される製品づくりをしている会社でしたので、そこには特にこだわりませんでした。

製造技術部で2年半ほど製造の基礎を学んだ後、品質保証部へ異動。こちらではお客様対応が中心となる部署ではありましたが、市場に出て直にお客様の声を聞くことで、製品のあるべき姿を知る事ができ、課題に対して複数の視点をもつ事の重要性を学ぶことができました。その後、また2年半後に今の部署に配属され、現在に至ります。

技術者としては、やはり現場に近いほうがやりがいを感じます。研究開発部には他部署にはない専門機器がたくさんあり、いろいろな部署から分析を頼まれます。頼りにされていると思うと嬉しいですね。

ただ、製造にダイレクトに関わる職種ではないので、いかに成果を上げるかは常に課題です。たとえば、私も昨年立ち上がったあるラインの社内プロジェクトに参加していますが、成功すれば当社としては革新的な技術になります。それを研究という立場からどうサポートするか。古巣である製造技術部との共同開発なので意思疎通を図りながら、より有効なアプローチを考えているところです。

難しい局面を迎えている業界で必要なのは

入社して感じるのは、例えば自動車業界などの大きなサプライチェーンの中では、多種多様な変化が日々発生しているため、そのような大きな流れの中では、様々な要素や条件を受け入れなければならない場面がある、ということです。それが大きな方向転換だとしても、二次加工メーカーとして受け入れなくてはならない。上流から下流という長い工程がある業界に身を置いた以上、ある程度割り切らなくてはと思っています。

また、ワイヤ業界については、自動車産業における需要の過渡期にあるため、難しい局面を迎えているという印象があります。

それでも当社には、意見を言いやすい、風通しのよさが風土としてあります。私も担当している研究テーマを進める中で、「こうしたほうがいいのでは?」と、上司に意見することがあります。そういう場合も肯定的に検討してくれるので、この様な分野で成長したいという人にはチャンスがたくさんあると思います。

もちろん、意見を通すにはそれなりの根拠を示す必要がありますし、自ら発信するという積極性が求められます。ただ、大きな局面を迎えているこの業界においてイノベーションを起こすには、そういった風土が必要ではないでしょうか。

入社を希望する方へのメッセージ

会社選びをする際、社員同士の雰囲気を見ることは大切だと思います。私は当社の面接で、先輩社員たちのやりとりから職場の明るい雰囲気や風通しのよさを感じ、自分に合っていると思いました。自分が働く場面をイメージしながら就職活動するのもひとつの手です。是非観察してみてください。