先手を打った受給管理が重要

私が担当しているお客様は、世界的に有名なベッドメーカーです。世界で初めてポケットコイルマットレスを量産、一流ホテルでよく使われているベッドブランドといえばわかるでしょうか。ポケットコイルを開発されるとき、当社の硬鋼線の耐久性と硬さに注目され、スプリング用線材の開発・製造メーカーとして採用されたことから、当社とはお付き合いが続いています。

最優先業務は受給管理です。なぜならベッドには年間を通して需要がある一方で、増産や減産の時期が読めないといった特徴があるからです。また、当社工場は月単位の生産計画に則って稼働しており、予定外のライン変更が難しいということもあります。

そこで、在庫がなくならないよう先手を打つこと、つまりバッファをとっておくことが重要になります。

昔ながらの慣習にはいいところもある

転職を考えたとき、前職で鉄鋼プレートを扱っていたことから親しみを感じ、当社に決めました。しかし、業界が異なるとこうも違うのか、当初は業界特有の文化にカルチャーショックを受けました。手土産や接待といった、昔ながらの慣習が一部残っていたからです。
でも、慣れてくるとその理由やよいところもわかります。

私たちの仕事は人対人、コミュニケーションをとることが基本です。商談するにしても、いきなり本題に入るのは難しい。「ぜひうちの線材を」という熱い気持ちがあっても、先方が望んでいなければ時間をとってもいただけません。

ビジネスライクな関係を求めるお客様なら合理的なほうがよいのかもしれませんが、ワイヤ業界は違うと感じます。ただ、それを先方から要求されるわけではなく、何というか、本音で話し合う場づくりのツールにしている感じです。

それでなくてもB to Bビジネスでは、いかにして自社製品を知っていただくか、採用された場合はどのような付加価値がつくか、そこには在庫管理や納品調整といった業務も含まれますが、そういう売り込みを営業はしなくてはなりません。そんなとき、ちょっとした気づかいによって商談が進むなら、悪いことばかりではないと思います。

お客様の商品が流通したときの達成感

営業の仕事には、お客様の声を拾って製造に反映させる役目がありますが、自分の転職当時を思い出すと、これから社員になる皆さんと似たような経験をしているかもしれません。工場で、「君はどうしたいの?」と眉をひそめられたことがあってハッとしました。その頃の私は、お客様の要望を聞いたらそのまま工場に伝えていたんです。

たとえば、製品に対してお客様から改良注文があったとします。そういう場合、品質保証部に相談して今後どうするか、お客様に返答、提案する必要があります。私は転職したばかりで知識も乏しく、自信がなかったこともあるでしょう。品質保証部に持っていけば何とかしてくれると、どこか甘えていたかもしれません。

考えてみればお客様は、困りごとがあるから改良注文されるわけで、それを当社の持てる力で解決してさしあげたいと、自分の意思を明らかにするべきでした。伝書鳩のようにただ「お客様はこう言っている」と伝えても、「そんなの急に言われても無理」となるのは当たり前だったでしょう。

大切なのはお客様の要望をクレームととらえず、当社への期待ととらえること。その中には新しい製品づくりにつながるヒントもあるのですから。

そうやっていろいろな経験をしながら自分が扱った線材が商品に使われ、それを街中やコマーシャルで見かけたときの達成感はひとしおです。

入社を希望する方へのメッセージ

私もそうでしたが、社会に出たばかりのときは迷いや悩みも多く、一人で抱え込みがちです。そんなときは思い切って、まわりの人に相談することです。耐え忍んでも状況は変わりません。漠然とした投げかけでもかまわないので、まずは発信する。すると協力してくれる人が必ず現れますよ。